ドイツとEUが抱える難民受け入れ策の課題

staff02

お元気ですか?Hier ist Julia von Ecom.
今日は、現代のドイツで話題となっているニュースについて書きたいと思います。ちょっと真面目なテーマですが、移民国家であるドイツがとっている難民対策についてです。
日本でも最近は話題になっていると聞きますが、皆さんにも知ってもらいたいと思ったので書いてみます。

 

ドイツとEUが抱える難民受け入れ策の課題
こちらはアフリカの難民キャンプの様子です。

 

2014年、ドイツでは全てで145万5千人が移住してきました。その人たちは、大きく5つのグループに分けることができます。

1:EU人
欧州連合に加盟している国民は、欧州連合の中では自由に引っ越すことが可能です。

2:難民
自分の存在上に危機がある場合、庇護手続法によってドイツでアジール(避難の権利)を行使することが可能です。

3:外国人の結婚相手
家族で生活するため、結婚相手は外国人でもドイツで住むことが可能です。

4:資格があるEU以外の人(”Drittstaat”といわれる)
ドイツで必要とされている専門能力を持つ人は、ドイツのビザを手に入れることが可能です。

5:中欧・東欧の帰還移住者
戦争のため外国へ逃げたけれど元々ドイツに先祖を持つ人は、ドイツに帰国可能です。

 

ちなみにEU国籍は約83万人、EU以外の国籍では55万人がドイツに移民してきました。人数で見ると、1と2のタイプの移民が最も多くドイツに来ています。

1はスペインやギリシャなどの経済が悪くなって、ドイツに来て仕事を探す人が多くなったことが理由です。そして、2はシリアなどの難民ですね。今年は8月までに約40万人の難民がドイツに来ていて、年末までに80万人に達すると予想とされています。大変な人数ですね。彼らをどこで寝泊まりしてもらうかも問題で、テントキャンプや宿が貸されています。その後ミュンヘンやライプチヒなどの大きいキャンプから、他の町へと分かれていきます。

 

難民の行き先は、Bundesland(連邦州)の税金所得と彼らの国籍などを考慮して「Königsteiner Schlüssel」(ケーニグスシュタイン)という方法で振り分けられます。西ドイツは経済状況が良いため、東ドイツと比べて難民の受け入れ数が多いです。

ただ、このアジール権に関しては色々な問題点があります。中でも「das Dubliner Übereinkommen」(ダブリン条約)という、EUの国際法が注目を集めています。なぜならこの国際法が、EUの難民庇護手続法を定めているからです。
この法律は、難民はヨーロッパでアジールの登録ができること、そのためには最初に到着した欧州連合の国で警察への亡命申請を出すことが必要だと決めています。

また、その国から他の欧州連合の国に引き渡しをします。この場合も「Königsteiner Schlüssel」と同じようなシステムで、国のサイズと経済力を基にして難民を送ります。

 

シリア・イラク・アフガニスタン・ソマリア・エリトリアなどから避難する人たちの多くは、ブルガリアが最初に入るEUの国となっています。

しかしブルガリアの経済はあまり強くないため、難民にとって良い環境ではありません。そのためほとんどがブルガリアには残らず、もっと環境の優れた国へ移動したいと考えます。わざわざ自分の国から逃げたのだから、家族と生活しやすい国を選びたいわけです。

そこでフランス・オーストリア・ドイツ・スウェーデンなどが人気の国となっています。

 

ドイツ人も難民の辛い気持ちは理解していますが、戦争から避難するだけでなく経済力も求められるのは正直厳しいですよね。

まず平和のために脱走したのだから、貧乏な他の国でも我慢して欲しいと思う人は多いです。それなのにお金がある国へばかり移動してくるのは、戦争難民ではなく経済難民だという意見もあります。

 

このような状況のため、テレビで流れたようなハンガリーでの難民の抗議運動は発生したのです。ハンガリーはダブリン条約のルールを守って難民を保護しましたが、難民キャンプのイメージが悪いため残ろうとした人は少なく、2日間で1万3千人もドイツへ輸送されました。

 

しかし、同じような考えの人が集まったらどうなるでしょうか?そうです、ドイツに着いた難民も結局は、ただのキャンプにしか泊まることはできませんでした。

彼らの多くは、想像と違うためガッカリしているそうです。そのためドイツの難民キャンプでもデモがよくありますが、それを見て「平和なドイツに住めたら満足なはずなのに、それでも不満だなんて恩知らずだ」という声も出てきています。

 

もちろん戦争から避難してきた人たちを助けるべきですが、ドイツだけではなくヨーロッパ全体で解決しないといけない、とても難しい問題だと思います。

どうやってこれだけの人数を迎え入れて統合すればいいか、誰がどうやってそのコストを払えばいいか、治安は悪化しないか…。心配なことだらけですね。

皆さんは、難民の受け入れをどう考えていますか?外側にいるからこそわかることもあると思うので、ぜひ教えてほしいです。

ドイツとEUが抱える難民受け入れ策の課題
こちらはフランスの様子です。

 

 

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

2 thoughts on “ドイツとEUが抱える難民受け入れ策の課題”