ドイツの歴史を伝える「ジュッターリーンの筆記体」

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皆さん、お元気ですか?日本はこの前「文化の日」だったということで、今日はちょっと文化的な話をしたいと思います(笑)
皆さんは日本の学校などでラテンのアルファベットを習ったと思いますが、英語やドイツ語が母語ではないので、ブロック字体のような書き方だったはずです。
ですが、学校で習う現在の筆記体は、大分新しい書き方だと知っていますか?1911年から1941年の30年間だけ、ドイツでラテン文字の代わりに使われていた文字があるんです!

それが、Ludwig Sütterlin(ルートウィッグ・ジュッターリーン)の作った「die deutsche Schreibschrift」です。

 

ドイツの歴史を伝える「ジュッターリーンの筆記体」

 

こちらで、ラテンの字とジュッターリーンの字の書き方の違いが分かります。ラテンの方は丸くて、ジュッターリーンの方は右に曲がって斜めになっています。

イギリス由来の文字がドイツの子供には書きにくかったようで、ジュッターリーンさんは子供の手にあわせて新しい字を作りました。彼はこの文字を1911年に発明して、それからこちらの文字が一般的に使われていました。

 

ドイツの歴史を伝える「ジュッターリーンの筆記体」
Ludwig Sütterlin(ルートウィッグ・ジュッターリーン)

 

しかし1941年、ヒトラーによってジュッターリーンの文字を使うことは禁止されました。それはなぜでしょうか?

それは、ユダヤ主義と民族主義に原因があります。ジュッターリーンの文字はユダヤ人に使われていて、その字を使ってユダヤのプロパガンダの印刷物がたくさん作られていたようです。そのため、ジュッターリーンさんの字はユダヤの字の象徴となりました。
ただ、その理由は言い訳だったようです。なぜなら15世紀には、ユダヤ人は印刷所を経営してはいけなかったからです。

実の理由は、ジュッターリーンの字を勉強していないドイツの田舎では民族主義の訓示を読めない可能性が高かったため、より多くの人が読めるラテンの字へ変更したみたいです。
そのため現在のドイツで使われている手書きは、書きやすくて読みやすいラテン語を元にした筆記体となりました。

さて、この筆記体が使われ始めたのは1941年からなので、現代の人は問題なく使えます。しかし、一つ問題があるのです。

それは、昔の文字を読めなくなったため、当時の書類などに何が書いてあるかわからなくなってしまったのです。1911年から1941年は歴史的にもとても大切な時期ですから、なおさら大変です。戦争前後の本や当時の手紙なども読めなくなることは、ドイツの歴史を失うことになります。

 

そうした遺産を大事するために、昔の「deutsche Schreibschrift」(ドイツの筆記体)を練習するための教科書があります。

 

ドイツの歴史を伝える「ジュッターリーンの筆記体」

 

私はドイツ統一の記念日に、ワイマールに行ってその教科書を発見しました。私のお母さんの家には150年以上前の古~い本がたくさん置いてあるので、読みにくい「deutsche Schreibschrift」をお母さんと一緒に読んできました。

ただ、印刷したものと手書きのものはかなり異なっているので大変ですね。私も手書きが読めるようになりたいので、教科書を買ってみました。やっぱり書きにくいですが、次第にドイツの歴史を感じられるようになって、とても楽しいです。

 

ドイツの歴史を伝える「ジュッターリーンの筆記体」
ちなみに、こちらの文章を読める方がいたら、是非教えて下さいね!どうですか?

 

 

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