ユリヤのおすすめ現代ロシア文学ベスト5

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Всем привет! みなさんこんにちは。Ecomのユリヤです。
もうかなりの回数にわたりロシア文学のお話をしてきましたが、毎回その話題でロシア人の友達とも盛り上がっています。実はその時、多くのロシア人が「ロシア文学は帝国ロシアとともに去った、今はまともなものなどない!」と言うのです。そこで起こる議論が私は楽しみなのですが、「いや!今も良い作品はある!」と誰かが言えば、「今は名作が何にもないから、そこそこのレベルでも人気があるだけ!」と言い返す人がいたりします。
さて、では「今ある良いもの」とは一体何でしょうか?まずはそれらの作品が本当に良いかどうかを知る必要がありますね。そこで今回は、現代のロシアで特に評判の良い文学作品を紹介したいと思います。

 

 

ユリヤのおすすめ現代ロシア文学ベスト5
現代ロシア文学を代表する親日家、アクーニン先生

 

その1:Б. Акунин. Турецкий гамбит(ボリス・アクーニン トルコ捨駒スパイ事件 (ファンドーリンの捜査ファイル))

ボリス・アクーニン先生に関しましては、以前も数回ご紹介させていただきましたね。彼はグルジア系ロシア人で、今はヨーロッパに住んでいます(何でも、ロシアの政府に反対だからだとか)。
ロシアの日本に対する愛は以前「日本への片思い」という記事で書いたと思いますが、本当に多くの方が日本をテーマに色々な小説を書いています。なぜなら単純に、日本について書けば読まれるからです。だから残念なことに、でたらめな「フジヤマ・ゲイシャ・アリガト」的な描かれ方も多いのが事実です。
しかしアクーニンの作品を読むと「本当にこの人は日本をよく理解しているなあ」と思うことまちがいなしです!彼は日本語からの文学翻訳も多く手掛けており、日本文学・文化・歴史研究もなさっているので、おそらく私のような日本育ちの人間よりもはるかに深く日本を知っています。頭が上がりません、本当に…。
ちなみにこの作品は、トルコ戦争の時代を描いており、映画化もされています。トルストイの『戦争と平和』の説明でもちょっと出てきましたね。ちなみに、和訳も(美しきロシア語翻訳家の真珠奈倉有里さんによって)されているので是非読んでみてください。

 

 

その2:Пелевин. «Generation „П“»(ヴィクトル・ペレーヴィン ジェネレーション〈P〉)

ペレーヴィンは現代のロシア文学会で最も注目されている一人です。どこかの雑誌で「国や社会の変化がなければ、素晴らしい芸術は誕生しない」と書いてあるのを見ましたが、少なくともロシア文学に関しては全くもってその通りだと思います。

トルストイは戦争の残酷さを伝え、ドストエフスキーは社会の醜さを書き、レールモントフは当時の社会の矛盾を見せようとしました。そして、ペレストロイカやインターネット革命、グローバル化…といった現象も当然、芸術では無視することのできない大きな変化です。
ペレーヴィンはこれらの変化がもたらした社会現象をもとに、多くの作品を書いています。中でもこの小説は世界的に注目され、和訳もされています。90年代の社会で、コピーライターとしてCMやテレビという人を操る道具を使いながら、本当にこれで良いのだろうかと悩む若い男性が主人公です。現代ロシアを理解するためにおすすめの作品ですよ。

 

その3:Маринина. Украденный сон(アレクサンドラ・マリーニナ『盗まれた夢』)

推理小説への愛は、世界共通ではないでしょうか。もちろんロシアも例外ではなく、本屋に行くと目が回ってしまいそうなくらいカラフルな表紙の推理小説が並んでいます。中でもトップの人気を誇るのが、このマリーニナ先生です。分析専門官アナスタシア・カメンスカヤが事件解決に挑戦する中でマフィアを敵に回してしまいますが、この強気な女性が頑張るわけです。もともとロシアでは、推理小説はなぜか女性に多く読まれます。そのため、主人公は女性の方が多いのです。この作品は和訳もされているため、ぜひお読みいただければと思います。

 

 

その4:Донцова (ダーリヤ・ダンツォーヴァ)

このダンツォーヴァ先生は、ロシアで「アイロニー推理小説ブーム」なるものを巻き起こした人で、ロシアの現代文学を語る上では忘れてはならない存在です。多くのロシア人は「レベル低すぎ!」と言いますが、私は軽く読めて笑える彼女の小説が時々無性に読みたくなります。作風は、日本のライトノベルにちょっとだけ似ていますね。一応は推理小説だけど、展開もおバカな感じで面白おかしく書かれていますし、ロシア人のライフスタイルもよく描かれているので、日本にいた頃は特に興味があってたくさん読みました。
また、多くの作品がドラマ化されているのでそちらも注目です。シリーズで出版されているので特にこれという作品はあえて言いませんが、どれを読んでも大きく外れることはないと思います。ロシア人なら誰でも知っている小説家なので、話題に出してみても良いかもしれません。

 

 

その5:Сорокин. Норма ( ウラジーミル・ソローキン Norma (ノルマ))

この方は本当に独特な小説を書くので、好き嫌いがわかれます。正直、私はあまりオススメしたくありません(笑)
というのも、う○こを食べることが「ノルマ」化された世界を描いた作品だからです。この人としてはとても深いことを世に伝えているのでしょうが、残念ながら考えが浅い私には遠い世界なのです…。(おそらく、社会のルールや常識はそれだけくだらなく、周りがやっていると自分もやってしまうという人間の姿を描いているのでしょう。)
ちなみにこのソローキン先生が来日した際に私の父は話をできたそうですが、その時に父は「あなたの本はあえてテーブルの下で保管しております」と言ったそうです。すると、ソローキン先生は「この人は理解している」というような目で父を見て、しばらく一緒に楽しく話したそうですよ☆

 

というわけで、ロシア文学=チェーホフやドストエフスキーだけではありません。現代文学だってちゃんと頑張っているのですよ。では皆さま、ロシア文学をたくさん読んでロシア語を学びましょう(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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