ドイツの名文、諺『釘の頭を命中する』

Julia Ecom(イーコム)
Ecomのユリアです。Hallo ihr Lieben!
ドイツ語にはメタファー(例え)が入っているフレーズが多いのはご存知ですか?メタファーの特徴は、あるイメージによってそのフレーズの意味が連想されることです。
けれども、ドイツと日本では考え方や価値観が少し異なっているため、日本人には想像できないだろうフレーズもたくさんあります。
そこで今日のドイツ語名文は、ドイツ人がよく使うけれど日本人には意味がわかりにくいフレーズを紹介したいと思います。

第30回
“Den Nagel auf den Kopf treffen.”
(くぎの頭を命中する)

 

ドイツの名文、諺『釘の頭を命中する』

 

意味:
要するに、「物事の核心をつく」という意味です。
このフレーズには、2つの由来があると考えられています。1つ目ですが、カナヅチなどで釘の頭(中心)を当てることは難しいことだと言われているからです。でもよく考えてみると、そこまで大変なことではないですよね!(笑)
そこで、2つ目の由来をみてみましょう。2つ目は、アーチェリーの専門用語から来たようです。昔はこのような競技で使う標的の中心点に、釘が入っていました。この釘の頭を矢で命中できたら「Den Nagel auf den Kopf treffen」と言いました。カナヅチより弓矢の方が、はるかに難しそうですよね。一発の矢で釘を命中できる人は、能力がある人だと思われていました。
ただしこのフレーズは、「能力がある人」を意味しているわけではありません。このフレーズの本当の意味は最初に言った通り、「正しいことを言う」「その場に適したコメントをする」ということです。アーチェリーの標的である釘は、会話の内容を例えているんですね。
その話の要点を言い当てることが、矢を釘の頭に射るということなのです。

例えば、ある女性が留学に行くかどうか迷っています。「留学は高いし、大学の卒業は遅くなるし…」などの言い訳をしますが、それは本当の理由ではなさそうです。そこで「いや、あなたはただ留学に行くのが怖いから迷っているのではないですか?」と問題点を指摘すると、これが「Du triffst den Nagel auf den Kopf」(物事の核心をつく)というフレーズの良い使い方になります。
ドイツ人には会話の核心を探す傾向があるので、よく耳にする諺だと思いますよ。もし機会があれば、ぜひ使ってみてくださいね。

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