ついこの前、アラブ人の間で不幸を呼ぶと言われている迷信を紹介しましたね。今日はその反対の話をしたいと思います。今回のテーマは、アラブ世界で伝わる、幸運を招く行動です!
迷信が好きなアラブ人ですが、悪い迷信だけでなく良い迷信もありますからね(笑)
その1:出かける車に水をかける
これは旅行する時や出かける時だけに、やることです。
出かける車に水をかけるのには、「問題がないように行ってらっしゃい」という思いがあります。
この習慣には様々な由来がありそうです。迷信で一般的に思われているのは「悪鬼を退ける」ためです。また元々は、車以外の乗り物にも水をかけていました。これは乗り物に「ずっと起きていてね!」と願う、目覚ましの意味があります。人に直接かけたら悪いですからね(笑)そこから、「注意して運転してね。」「元気でね!」といった意味に変わっていきました。
ちなみに「車に水をかける」のを、お花に水をやるような動きを想像している人はいませんか?全然違いますよ!
この習慣は、ちょうど車が動き始めた時に、1~2リットルの水を思い切り、車を狙って打ち上げます。とてもパワフルな動きなんですよ(笑)
この習慣はとても不思議に見えるかもしれません。でもアラブ人は、迷信なのは知っているけど、一応やっておけばいいかなと思っています(笑)
私は子供の頃、両親と車に乗って出かける時に、お婆ちゃんや親戚にこれをやってもらっていました。車が発進したら「うわー、車に当たるのかなー!」と興奮していました。とても楽しい習慣だから、皆やりたがるんですね(笑)
その2:アル=ブクールの煙
アル=ブクールとは、アラブのお香です。前に紹介したことがあるので、そちらの記事もぜひ見てくださいね。
アル=ブクールは家や物に香りを付ける以外に、人にも使えます。人にかけるのは香りを付けるためと言うよりも、その人を不幸から守って、幸運をもたらすためですね。
ブクールの煙に囲まれると、見えない盾が守ってくれているような感じがします。香り自体も強いので、イメージがしやすいですね。
アラブ人の多くがブクールを普段から付けているので、これがないと逆に、変な感じがして不安になる人もいます。
私のお母さんは、よく家の中でアル=ブクールをかけていました。今でも覚えているのは、私が試験勉強をしていた時に、頭の上で「マブカラ(ブクールの入った容器)」を回して「合格するように」と言われたことです(笑)
その3:物が壊れる
最後は少し変わった考え方かもしれません。アラブ世界では、物を落としたり、割ったりしたら、普通は悪いことが起きる予感だと思われていますよね。でも不思議なことですが、アラブ世界では反対に、物が壊れるのは良いことだと思われています。
なぜなら物が壊れることで、自分に来るはずだった悪運が消されるからです。
アラブ人は物が壊れたら、「本当は自分に何か悪いことが起こるはずだったのが、これが壊れたおかげで守られた!」と思います。物が自分の犠牲になっているという考えですね。すごくポジティブではないでしょうか?
この迷信が生まれた理由は多分、「悪いことが起きたら仕方ないから、それを良いことだと信じよう」という考えがあったからだと思います。そこから段々「物を壊すのは良いことだ!」という風になってしまいました(笑)
なので、自分の持ち物を落として壊れた時にアラブ人から「良かったね!」と言われても、ビックリしないでね^_^
アラブ地域の幸運を呼ぶ習慣は、どうでしょうか?皆さんもぜひ、やってみてください! (笑)