Ecomのユリアです。Guten Tag!
先週のこのコーナーでドイツ人はトマトラバーだと書きましたが、今日の慣用句もトマトの話になっています。ですが、今回のフレーズはヨーロッパの歴史に基づいたちょっぴり重い話?かもしれません。
第6回
“Eine treulose Tomate sein”
(不誠実なトマトである)
「treulos」という形容詞は「不誠実な」の意味ですが、「不誠実なトマト」はどんな野菜でしょうか?
ドイツ人はトマトが大好きですが、ドイツよりトマトを気に入る国はどこでしょうか?そうです、イタリアはトマトのイメージが強いですね。ですが、どうして急にイタリアが出てくるのでしょうか?それには、第一次世界大戦の時のあった出来事を詳しく調べる必要があります。
1882年、ドイツ帝国とオーストリア・ハンガリー、イタリア王国の三つの国は軍事同盟を組みました。その軍事同盟によって、それぞれの国は他国からの襲撃を受けることになりました。
しかしイタリアは1915年に三国同盟を抜けて、イギリス・フランス・ロシアの三国協商に入ってしまいました。一瞬で仲間から敵になってしまったのですね。このような行為からイタリア人は「不誠実」のシンボルになり、イタリア人がよく食べているトマトも冗談で悪い名前になりました。
なので「eine treulose Tomate」は不誠実の人間に対する呼び方となっています。ただし冗談っぽいニュアンスがあるので、軽く使われています。
例えば大学の授業にいつもある友達と参加をしていて、ある日その友達が連絡をせずに授業に来ないとします。その友達にメールで「Hey, wo bist du, du treulose Tomate? Ich warte auf dich im Unterricht!」(おい、不誠実なトマト、どこにいるの?クラスで君を待っているよ)みたいな言い方をします。
そこまで大事じゃないけれど、してくれる、あるいは来てくれると思っていたのに実際にはしてくれなかった、来てくれなかった人への呼び方ですね。
もし三国同盟を抜けたのがドイツだったら、この言葉は「不誠実なジャガイモ」となっていたかもしれませんね(笑)